医療コラム

蚊と毛虫

蚊と毛虫

新潟市中央区万代3ー1ー1 新潟日報メディアシップ3F
 さくら皮膚科医院 院長 西條 忍
(社)日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医
(一社)日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

 蚊に刺されて痒くなるのはアレルギー反応です。
つまり、蚊に刺されたときに注入された唾液腺物質に対して感作が成立して初めて反応が起こる
ようになります。
この反応には2種類あります。

 ひとつは、遅延型反応です。
刺された翌日以降赤く腫れて1週間近く痒みに悩まされます。
生まれたばかりの赤ちゃんが初めて蚊に刺されたときは無反応ですが、蚊に刺されるようになると、通常はまず遅延型反応が出現するようになります。
特に小児の場合は強い腫れや水ぶくれまで生じることがあります。

 もう一つは、即時型反応という、刺されてすぐに痒くなって赤く膨れる反応です。
じんましんのように1~2時間で消えます。

 蚊に刺され続けると、遅延型反応に加えて即時型反応もみられるようになります。
さらに刺され続けると、遅延型反応が起こらなくなり、さらにその後は即時型反応も出なくなります。
もちろん個人差がありますが、普通は刺されているうちに反応が起こりにくくなるわけです。

 ところが、そうでない場合もあります。
蚊刺過敏症(蚊アレルギー)という、遅延型反応が非常に強く、大きく腫れて水疱から潰瘍になり、発
熱などの全身症状を伴う病気です。
徹底して蚊を避けるとともに慎重な経過観察が必要となります。

 毛虫(チャドクガの幼虫)の毒針毛に触れると毛虫皮膚炎になります。
これもアレルギーです。
毛虫に触れてもすぐには気づかず、翌日以降に痒い赤いポツポツがでたと訴えて来院される方が
ほとんどですから、毒針毛の毒成分に対して遅延型反応が成立していることが多いと思われます。中には、即時型反応も生じる方がいらっしゃいますが、そういう方は、毛虫に触れる機会が多かったのかもしれません。