活動内容

亀田総合病院・筑波宇宙センターを視察

高齢化、医師不足に対応できる医療を
 最先端市立病院「亀田総合病院」を見学
   ~教育福祉医療部会~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教育福祉医療部会(栂坂昌業部会長)は、9月7日から8日、18名の出席で視察見学会を実施致しました。今回は、外国人患者の受入れや、高度先進医療におけるドクターの育成等に力を入れ、病院経営の既成概念を打ち破る新しい発想で全国から注目を集める「亀田総合病院」、並びに宇宙飛行士の育成や、宇宙開発の研究、人工衛星の追跡や管理が行われている「宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センター」を視察見学しました。
 亀田総合病院では、亀田信介院長が「今後は高齢化が進展していくなかで、医師不足・病床数不足が非常に深刻になる。医療・介護は長寿社会にとって重要な社会保障である一方で、雇用創出・経済活性化のための産業として成長させていく必要がある」と述べ、病院のコンセプトや将来展望について説明を受けました。その後、病院の主要施設を見学しました。
 宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センターでは、宇宙の軌道上で太陽光を集め、地上にエネルギーを伝送するシステムの開発が行われており、2030年代の実現を目指しているとのことでした。
普段目にすることのできない施設を見学することができでき、大変充実した視察見学会となりました。

 

①亀田総合病院(説明:院長 亀田信介様)

  • ・亀田メディカルセンターは、人口37,000人の小さな田舎町にある。高度専門医療から在宅、家庭医療、介護医療に渡って網羅的に行っている。420名の医師を抱え、教育熱心で、研修医からの人気が高い。
  • ・健康とは「肉体の健康」、「心の健康」、「社会的健康」、「魂の健康」、これらがすべて健康な状態を真の健康という。これら4つの総和が我々のサービスの価値である。顧客の能動参加により満足度向上が期待できる。
  • ・学校法人(看護師養成)、社会福祉法人(知的障害、障害者福祉、老人福祉、在宅)も含め経営。
  • ・今後は高齢化が進展することで、医師不足、病床数不足が深刻になる。あと15年の間に最も問題となる地域は埼玉の南と千葉の北、神奈川の北と東京であろう。
    ・医療・介護は長寿社会にとって非常に重要な社会保障であり、かつ雇用創出・経済活性化のための成長産業である。21年時点で、介護まで入れたグループ全体の予算は鴨川市の全予算の約2倍。そのうち50%近くが人件費として払われ、この町の消費に回っていく。常勤職員は3,800人。これまでの県南最大の雇用は「新日鉄君津製鉄所」だった。多い時で8,000人近い正規雇用があったが、現在は3,000人程度。2次産業で外貨を獲得するには雇用は減らすしかない。
  • ・診療報酬は22年度ようやくプラスで改定され、その影響で従事者が前年比46万人増加している。
  • ・医療・介護は長寿社会にとって非常に重要な社会保障である一方、雇用創出・経済活性化のための産業として成長する必要がある。適正な経済成長は、年金をはじめ、社会保障財源の健全化をもたらす。現在の医療保険はセーフティーネットになっていない。セーフティーネットを作ると同時に産業化できるようにする。
  • ・医薬品の輸入超過が16,968億円、医療機器の輸入超過が5,315億円、両方とも日本の得意分野。医療機器は工作機械と、ロボット技術の勝負。国が様々な規制を撤廃して少しテコ入れすれば逆転できる。
  • ・日本版IHNの構築による医療サービスの効率化が課題。キーワードは「機能分化」。広域医療圏の中で重複を避けながら実践している事業体がIHN(統合ヘルスケアネットワーク)。日本はM&Aが大嫌いな国。都心、人口密集地帯は、質の高い医療提供体制をどう作っていくかがこれからの課題となる。

 

 

  

 

②宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センター

  • ・敷地面積53万㎡、東京ドーム12個分。2,000名が勤務している。
  • ・日本の大型ロケットの開発は筑波宇宙センターのエントランスに展示してあるH2ロケットから始まった。
  • ・JAXAは数多くの人工衛星を宇宙に送り届けている。通信測位技術の高度化による新しいサービスの提案など暮らしを支える人工衛星の研究開発やその利用を進めている。人工衛星による測位システムはカーナビなど様々な分野で応用されているが、順天頂衛星システムによりさらに高性能の測位サービスを実現することで、交通、物流、防災、気象、農業、レジャーなど多くの分野で貢献することを目指す。
  • ・国際宇宙ステーションに実験設備や食糧などを補給する宇宙の無人輸送機「こうのとり」は現在使い捨てだがそれを地球に帰還できるようにする研究も進んでいる。
  • ・地球のエネルギー問題を根本的に解決する研究も行なわれている。太陽光発電システムは、軌道上で太陽光を集めて、マイクロ波やレーザーの形で地上にエネルギーを伝送するシステムで2030年代の実現を目指している。それが実現すれば太陽があり続ける限り二酸化炭素フリーの地球環境にやさしい無尽蔵の太陽光エネルギーを得ることができる。