医療コラム

『痔のおはなし – ②』~治療について~

『痔のおはなし – ②』~治療について~


新潟市中央区万代3–1–1 メディアシップ3階
てらしま外科内科クリニック 院長 寺島哲郎
日本外科学会認定 外科専門医

 
前回は痔の種類及び原因、その予防についてでしたが、今回はその治療法についてご説明いたします。


痔核の治療法
 「痔」の一番の治療法は、薬でも手術でもなく、生活習慣の改善です。日頃より前回ご説明した予防法を心がける事が大切です。
 そして出血、痛み、腫れなどの症状に対しては外用薬(座薬や軟膏)を使います。
 こうした保存療法で症状が改善されない場合には、「注射療法」や「ゴム輪結紮療法」といった方法を行うこともあります。
 注射療法は患部に硬化剤を注射し出血を防ぐ方法です。ゴム輪結紮療法は特殊な器具で痔核の根元にゴム輪をかけ、血流をとめて~2週間で痔核を脱落させる方法です。
 いずれの方法も内痔核にだけ行うことが可能な方法です。
 痔核の程度が進み、内痔核が外痔核を伴って肛門の外に脱出するようになると、完全に治すためには手術が必要となります。
 下半身に麻酔をかけ、痔核に血液を供給している動脈を痔核の根元のところで縛り、痔核部分を放射状に切除する結紮切除術が行われます。

 

新しい治療法
 最近、痔核に対し新しい治療方法が試みられるようになりました。
 新しい硬化剤「ジオン」を用いた四段階注射療法です。ジオンの成分である硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸が、痔核への血流を遮断したり、炎症を引き起こし繊維化させたりして痔核を縮小させ癒着固定させる方法です。
 今まで手術でしか治せなかった脱出する痔核に効果があるとされています。
 このほかに器械吻合器を用いて痔核より奥の直腸を全周にわたって切除し縫合することで、脱出していた痔核を奥に引き上げる方法(PPH)も行われるようになりました。
 この方法は痛みを感じる痔核部分は手術しないため痛みが少ないという長所があります。

 

おわりに
 当クリニックでも新しい治療法、四段階注射療法を積極的に導入し、痔核の治療を行っております。気になる症状があればいつでもご相談下さい。