医療コラム

加齢黄斑変性症とは

加齢黄斑変性症とは

新潟市中央区田町1-3239-1
(旧済生会新潟病院跡)
いかい眼科 院長 井海雄介
(社)日本眼科学会認定 眼科専門医

 網膜の中心部は黄斑と呼ばれ、ものを見るときに最も大切な働きをします。この黄斑の働きによって私達は良い視力を維持したり、色の判別を行ったりします。
 この黄斑が加齢にともなって異常をきたした状態を加齢黄斑変性といいます。
 症状は、視野の中央がよく見えない、ゆがむ、暗く見える、などです。
 最初は片方の眼に発症し程度も軽いために、年のせいと勘違いしている患者さんも少なくありません。
 しかし、徐々に、病型によっては急速に、視力が低下してしまいます。
 中央以外の視野は保たれ、全く光を失ってしまうことはまれですが、見たいところが見えず読みたい文字が読めないという、不便な状態になってしまう怖い病気です。
 以下の二つのタイプがあります。
①萎縮型:黄斑の組織が加齢とともに萎縮してくるタイプです。黄斑に地図状の萎縮病巣ができます。詳しい原因はまだよくわかっていません。現在のところまだ有効な治療法はありませんが進行は遅いことが多いです。
②滲出型:健康な状態では存在しない新生血管と呼ばれる異常な血管が、黄斑部に伸びてくるタイプです。新生血管からの出血や黄斑浮腫などで黄斑機能が障害されます。萎縮型よりも進行が早く、悪性新生血管の成長とともに、視力低下や、物がゆがんで見える、中央の視野が欠ける、などの症状が悪化していきます。急速に黄斑組織は破壊されていき、高度の視力障害が残ってしまいます。
 加齢黄斑変性は従来、視覚障害の主要原因の一つでしたが、近年、有効性の高い治療法が登場し、視力の改善も目指せるようになりつつあります。次回は治療法についてお話します。