医療コラム

「口腔ケア」…ご存じでしょうか?

「口腔ケア」…ご存じでしょうか?

新潟市東区中山6丁目3-35
清水フードセンター中山店駐車場内
e-メディカルプラザ3F
スマイル歯科おざき
副院長 尾﨑康子

 「病院から退院してきて間もないおじいちゃんなのですが、ごはんが食べにくそうにしていて、元気がなくなってきているようで心配なのですが、一度、家に診に来てもらえますか?」という、ご家族様からの、歯科往診要請の電話が増えてきています。
 居宅へ伺うと、エアコン暖房で乾燥した居室で、お口を半ば開けたまま肩で呼吸をしながら、仰向けでベッドに寝かされている無表情のお年寄り。
 そしてお口の中を拝見すると、ガサガサの唇、食べかすや歯垢がべっとりと歯や歯肉、舌に張り付いた状態。
 これでは、食べ物を取り入れ、噛みくだいて味わい、消化器官へ送り込むという、元来のお口の機能を十分に果たせないのも無理はないと納得する場面に、ここ最近数多く遭遇しています。
 日本人の死因の第3位として、あらためてその恐ろしさが認識されている肺炎。
 そして、高齢者の肺炎の70%以上は、細菌を含む唾液や食物を、気管や肺に吸い込むことでおきる、誤嚥性肺炎であるといわれています。
 そこで、その対策として重要性が注目されてきている「口腔ケア」ですが、その目的は、単に、歯磨きを指すのではありません。
 口から食べる機能の低下を予防し、機能を維持すること、さらに、信頼関係を築き、発語や笑顔を引き出すことで、コミュニケーションツールとしても考えられています。
 実際の口腔ケアとしては、歯ブラシによる歯面清掃をはじめ、歯間ブラシによる歯間の磨き残しの除去、歯石、舌苔の除去、口腔乾燥への対応、義歯の清掃など、個々の口腔内の状況に適したものが望ましいため、歯科健診受診後、専門科によるアドバイスおよび指導を受けることが必要です。
 器質的な口腔ケアの後は、さらに、お口から安全においしく食べるための機能訓練を適宜取り入れながら、総合的に効果的な口腔ケアを目指すことになります。
 風邪やインフルエンザの流行が気になる今の季節。口腔ケアの励行により、変わらず元気に過ごしていただきたいです。