医療コラム

様変わりする補聴器事情 ②(意識と制度)

様変わりする補聴器事情 ②(意識と制度)

新潟市中央区長潟 315番地
大滝耳鼻科クリニック 院長 大滝 一
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医
日本耳鼻咽喉科学会学校保健委員会委員
新潟市医師会理事

 補聴器をつける方の意識がこのところ変わってきているように思います。
 今、高齢化や超高齢化という言葉が巷には溢れていますが、世の中には元気な高齢者がたくさんおられ、100歳を超える方も珍しくありません。誰でもそうですが、長生きすればするほど聴こえの神経も少しずつ疲れてきて難聴となります。これは病気ではなく加齢による変化です。最近、あまり難聴が進行しないうちに補聴器をつけてみようとする方が増えてきています。これは、本人とって、そして家族などの周りの人にとっても、とても良いことと思います。
 高度の難聴となり補聴器をつけようとする方の中には、いろいろな理由から、購入はしたものの補聴器を使わないでしまうという方がおられます。高度難聴となる前に補聴器をつけ、周りの皆さんと良好なコミュニケーションをとり、楽しい生活を送ることはとても有意義なことです。難聴が軽度でも、よりしっかり聴き取りたいと、はやめに補聴器をつける方が増えているのです。
 次は、補聴器に関する制度です。高度の難聴の方には、以前から補聴器購入に際しての助成制度があります。基準となる金額はあるものの、補聴器購入費用の9割が国と県とから助成されます。これは年齢を問いません。
 また、昨年4月に、新潟県内の18歳未満の軽度・中等度難聴のお子さんを対象に、補聴器購入費用に関する助成制度ができました。助成額は県と市町村を合わせて購入費用の3分の2となります。政令市の新潟市は9割が助成されます。助成額の基準や制度の内容が市町村で異なりますので、耳鼻いんこう科もしくは市町村の窓口で尋ねください。
 この制度により、新潟県内の18歳未満で難聴のあるお子さんは、軽度から高度難聴まで、全てのお子さんが助成を受けることができるようになりました。これは画期的なことです。
 次回は最終回となりますが、補聴器購入にあたっての注意点を述べたいと思います。