医療コラム

熱中症予防について

熱中症予防について


(一社)新潟県労働衛生医学協会

  健康づくり推進部 保健師 鈴木 沙織

 暑くなるこれからの季節に気を付けたいのが熱中症による労働災害です。新潟労働局より、平成28年6月3日付で「平成28年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施について」(基安発0229第1号)に基づく、熱中症予防の注意喚起の通達がありました。
 今回は、労働衛生管理の基本となる「三管理」を中心に、予防ポイントをまとめたので、参考としてください。

1.作業環境管理
 WBGT値を活用し、作業環境の改善に努める:WBGT値は、暑さ指数と呼ばれ、熱中症を予防するために考案された指標です。気温だけでなく湿度、風速および放射熱を勘案した暑さの指数です。この値が高いほど熱中症の危険性が高くなります。ハンディータイプのWBGT値測定器も市販されています。環境省のホームページには、各地域の実況と予測が掲載されています。客観的に「暑さ」を捉えて、冷房の使用など作業環境の改善を図りましょう。

2.作業管理
①熱への順化期間を設ける:
熱への順化とは、熱に慣れ暑い環境へ適応できるようにすることです。暑さに体が慣れるまでには、ある程度の準備期間が必要です。特に、急に気温が上昇する梅雨明け時期などは注意が必要です。徐々に暑さに慣れるよう計画的に作業量を調整しましょう。

②水・塩分を摂る:
喉の渇きを感じてから、水分などを摂るのでは遅すぎます。喉の渇きがない時点で、定時的に水・塩分を摂取しましょう。(塩分濃度の目安は0・1%~0・2%です)塩分等の摂取が制限されている方は、主治医と事前に相談しましょう。

③涼しい服装にする:
透湿性や通気性の良い服装を心がけ、直射日光下では、クールヘルメットなど通気性の良い帽子を着用しましょう。

3.健康管理
 体調を整える:睡眠不足、前日の深酒、朝食の未摂取、下痢等による脱水などは、熱中症の発症に影響します。この季節は、各個人での健康管理が特に大切になります。さらに、作業管理者は日々の労働者の健康状態を確認することも必要です。

 当会では、熱中症予防のための教育活動も行っています。どうぞお気軽にご連絡ください。


  新潟県労働衛生医学協会 健康 づくり推進部 ℡370―1020